漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
15.
産前、産後の疾患
文献
多久島康司, 猪口博臣. 産褥管理におけるキュウ帰調血飲の有用性の検討-マレイン酸
メチルエルゴメトリンとの比較 (第1報) -. Progress in Medicine 2001; 21: 1535-42. 医中 誌 Web ID: 2002032923 MOL, MOL-Lib
1. 目的
産褥管理におけるキュウ帰調血飲の有用性評価
2. 研究デザイン
準ランダム化比較試験 (quasi-RCT)
3. セッティング
実施場所に関する記載無し (著者の所属は町立大和総合病院産婦人科)
4. 参加者
妊娠36週以降の経腟分娩で1000 mlを超える異常出血がない、産褥婦47名。キュウ
帰調血飲群23名、マレイン酸メチルエルゴメトリン群24名
5. 介入
Arm 1: 太虎堂キュウ帰調血飲 (EK-230) 1回1包 (2.0g) 1日3回内服
Arm 2: メテナリン (0.125mg) 1回1錠、1日3回内服
6. 主なアウトカム評価項目
症状別改善度
産後1日目から 5日目までの子宮体積、子宮底長、下腹部痛、乳汁分泌量を両群に
て比較
副作用
副作用の症状について記載
7. 主な結果
統計解析はt検定とカイ2乗検定、Wilcoxon signed rank testを用いて解析。
子宮体積、子宮底長は両群に有意差無し。
下腹部痛は産後1日目 (P<0.0028) 、2日目 (P<0.0005) 、4日目 (P<0.0232) とキュウ帰 調血飲群の方が有意に少ない。
乳汁分泌については、産後3日目 (P<0.0345) 、4日目 (P<0.0368) 、5日目 (P<0.0177) で 有意にキュウ帰調血飲群が多かった。
安全性については、メテナリン内服群で子宮収縮痛が強く、継続内服負荷症例を2名
認めたが、キュウ帰調血飲群では副作用はなかった。
8. 結論
キュウ帰調血飲はマレイン酸メチルエルゴメトリンの代替薬になりうる。
9. 漢方的考察
なし
10. 論文中の安全性評価
マレイン酸メチルエルゴメトリン投与群では下腹部痛 (子宮収縮痛) が強く継続服用が
困難と訴えた症例が2名あった。キュウ帰調血飲群での副作用はなかった。
11. Abstractorのコメント
マレイン酸メチルエルゴメトリンを産後ルーチンに使用することに対しては批判的な
意見もあって、現時点では子宮復古不全などの症例をのぞき、産後の褥婦にルーチン
で投与することは控えられてきている。副作用が少ないキュウ帰調血飲の効果につい
て論じた本論文の意味は大きい。しかしながら、本論文中では乳児の吸啜刺激、乳房
マッサージの子宮収縮効果、乳汁分泌促進効果についての評価はなく、キュウ帰調血
飲内服がどの程度有効かについては、さらなる検討が期待される。
12. Abstractor and date
中田英之 2008.4.1, 2010.6.1, 2013.12.31